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植物病原細菌の病原性の解析

植物病原細菌Pseudomonas syringae には異なる植物を宿主とする多くの病原型が存在します。本菌の病原性にはタイプIII分泌機構, 毒素生産, 運動能, 菌体密度感知機構, バイオフィルム形成能力などを必要としていますが, それら病原性因子が感染のどの段階で必要とされるのか, 病原性遺伝子の時間・空間的発現制御機構を明らかにします

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植物病原細菌の宿主植物からの認識回避システム

植物は、微生物の感染を認識する分子機構を進化させてきました。一方で、植物病原細菌も宿主植物に感染を成立させるために様々な仕組みを進化させてきました。その一つがべん毛タンパク質の糖鎖修飾です。私たちがモデルとして利用しているPseudomonas syringae pv. tabaci 6605(Pta 6605)菌株は、べん毛を介した高い運動能を有しています。Pta 6605菌株のべん毛タンパク質には糖鎖修飾がされていることを発見しました。このべん毛タンパク質の糖鎖修飾により、宿主タバコのべん毛タンパク質の認識を起点とする抵抗性反応を回避するために役立っていることもわかりました。

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植物病原細菌の走化性機構の解明

植物病原細菌は宿主植物への感染に際して、傷口や自然開口部から侵入を試みると考えられています。では、植物病原細菌はどのようにして傷口や自然開口部を見つけて、行動を起こしているのでしょう?その答えになるのが、走化性(Chemotaxis)です。植物病原細菌は、走化性をつかさどる受容体を表層に持っており、植物が分泌している物質を認識することで自然開口部を認識して侵入を試みると考えられています。しかしながら、植物病原細菌がどのような物質を認識して侵入行動を引き起こしているかについては不明な点が多く残されています。
植物病原細菌ゲノム中には数多くの走化性の受容体様タンパク質をコードする遺伝子が存在します。そこで私たちは、植物病原細菌の走化性に関わる遺伝子に着目し、走化性関連遺伝子の機能解明を進めてきました (Tumewu et al., 2020, Microbes and Environments; Tumewu et al., 2021, MGG, Tumewu et al., 2021 Microbial Research)。将来的には、走化性を制御することで、植物病原細菌の制御技術に繋がる知見に繋がると期待されます。

White Flowers

青枯病菌の病原力機構の解明

青枯病菌(*Ralstonia solanacearum*)は宿主範囲の広い難防除土壌病原細菌です。そのため、一度発病してしまうと防除することが難しい事でも知られています。一方で、青枯病菌に対して抵抗性を発揮するできる(病気に罹らない)植物があります。このような病気に強い植物は、どのような分子機構で青枯病菌の感染を抑制しているのでしょうか?そこで、抵抗性の植物がどのようにして青枯病菌の感染を防いでいるのか、その分子機構の解明を進めています。

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